”知る”では、なぜ避難が遅れてしまうのか、家族がしておくべき対策はなにか、ということについて紹介してきました。
そんな”知る”の章もいよいよ大詰めです。
対策を実践するのはいいけれど、本当に効果あるの?具体的にどんな変化が起きる?といった疑問を持つ方もいらっしゃることでしょう。
実際の取り組み例で成功した事例を見てみましょう。
水害マニュアルを作成し、要援護者名簿を整理。
平成17 年6月の大雨時には同名簿を活用して避難準備情報を伝達した。また、マニュアル検証訓練も実施している。
平成 16 年7月の梅雨前線豪雨により、市内を流れる五十嵐川が破堤し、 市内各地で浸水被害が発生した。
市内では 9人の犠牲者が発生したが、うち6人が高齢者だった。また、豪雨時の対応で、避難勧告の伝達等に課題を残した。
これらを踏まえつつ、三条市は、自治会、 自主防災組織、民生委員等とともに検討を進め、17 年4月、三条市水害対応マニュア ルを策定した。
三条市は、マニュアル策定後、自治会、民生委員、市民等に対する説明会 を繰り返し開催し、
同年6月には、水 害対応マニュアルを検証するための大規模な防災訓練を実施した。また、6 月27 日からの大雨では、
避難準備情報を発令するなど、要援護者への情報伝 達・避難支援に関してマニュアルに沿った対応を実施した。
①三条市では、市の保有情報を基に、「災害時要援護者名簿(原案)」を作成した。
その結果、「災害時要援護者名簿(原案)」の対象者は計 1,320 人おり、う ち自力や家族、福祉サービス提供施設の助けを借りて避難所等に避難するこ とができない避難行動要支援者に 371 人が該当することがわかった。 (次に、この原案の登録者に対して民生委員による同意確認作業を実施するとともに、原案未登録者に対してはアンケート調査等を実施し)、17 年5月、 1,177 人の対象者を登録した要援護者名簿を作成した。その後、市町村合併に 伴い、同月、要援護者名簿の更新を実施している。
②避難支援者協力担当は、風水害時に次の ような役割を担うこととしている。 1 避難準備情報が発令され次第、担当の災害対策支部に集合すること 2 自主防災組織や自治会等から応援要請 があった場合、避難行動要支援者の自宅 に赴き、避難支援を実施すること また、要援護者名簿登録者については、 要援護者と避難行動要支援者に分け、それぞれの支援方策について整理している。 まず、自力で避難できる要援護者に ついては、民生委員や、在宅介護支援センター、福祉サービス提供施設から避難準備情報を伝達してもらい、早めに避難してもらうようにしている。また避難行動要支援者については、自治会、自主防災組織を主体に、近所の 方々と一緒になって避難してもらうことにしている。 なお、要援護者に対しては、民生委員、自治会等は市の責任の下で、市の 支援活動に協力する立場で活動することを理解するとともに、避難支援体制 は万全ではないことを前提に、自分の身は自分で守れるように災害への備え に取り組むよう指導している
17 年6月 27 日から 29 日にかけて、活発な梅雨前線の影響で新潟県や富山県で 300 ミリを超える大雨となった。三条地域においても、28 日未明の段階で、 五十嵐川上流の笠堀ダムの状況を踏まえ、午前3時に警戒本部会議を開催し、 市長が登庁するなど、警戒態勢を整えた。そして、午前3時 53 分には、笠堀 ダムへの流入量・放流量がマニュアルに定めている判断基準を上回ったため、災害対策本部を設置し「避難準備情報」を約2万 6,000 世帯、約8万人に対 して発令した(市全体の約8割)。避難準備情報は、三条市水害対応マニュア ルに沿って自治会、民生委員等の様々な手段・ルートを通じて対象者に伝達 された。その後、雨脚は少しずつ弱まり、市内で大きな被害は発生しなかっ た。 三条市は、一連の対応における経験をいかし、引き続き情報伝達や避難支 援も含めた地域防災力の向上に向けて取り組んでいる。
事前対策をしっかりと行っていたからこそ成しえたことだね。
三条市では、市が要援護者がどれくらいいるのかをしっかりと把握しておき、災害が起きたときにどのように支援をするのかということまで事細かに決めていたんだ。
さらに、作成したマニュアルに関しての市民への説明、訓練を実施したことで、市民の防災意識が高まったんじゃないかな。
新潟県三条市のリンクはこちらです。
17 年9月の台風第 14 号では 要援護者への避難勧告・指示の伝達を実施。
この台風は広い暴風 域を維持したまま比較的ゆっくりとした速度で進んだため、長時間にわたっ て暴風、高波、大雨が続き、九州、中国、四国地方の各地で4日0時からの 総雨量が9月の月間平均雨量の2倍を超えた。
宮崎市においても、市内中心を流れる大淀川が計画洪水位を超えるなど、 堤防決壊等のおそれが高まったことから、5日午後5時 20 分に避難勧告を発 した後、6日午前2時 15 分に 9,477 世帯、最終的には避難勧告・指示・自主 避難併せて2万 1,483 世帯が避難をした。
この事例では災害が長期に及んだんだね。けれども、予め整えられていたシステムにより迅速な対応をすることができたんだ。
宮崎市では要援護者情報を任意で登録してもらっていたんだね。超大規模災害でなかったとしても、
・自治体全体での対策や訓練が実施されている場合は、積極的に参加し活用することが大切です!
ぜひお住いの地域の情報を入手してみましょう!